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思い出アルバム ~魔法の記憶~ (4)

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彼は、現代人が、その「物質的豊かさ」と引き換えに捨て去ったものを
一つ一つ、丁寧に拾い上げ、紡いでいるかのようでした。

我々は、自然の理に従い、自然に寄り添って生きるという、牧歌的な生活を望んでいました。
「素朴さ」と「単純さ」そして「無邪気さ」がそこにはあります。

「気」というものは大自然と共にあります。
我々の神殿は、高層ビルではなく、森の中にこそありました。

自然から離れれば、我々は、死んでしまうのです。

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人というものは、存在しているだけで、お互いを「無言のうち」に否定しあっている側面があります。
彼の生き方は、現代社会に対するささやかな反逆行為でした。

「人間が善意だけから出発したら、いったい何ができるだろうか?」

その問いかけは、いわば「知性」の否定であり、人に「無邪気さ」だけを求めるものでした。
現代という時代において、至極危険な発想です。
アルカイダの自爆テロ犯にも似た、死装束をまとった「無邪気さ」なのです。

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「理」や「美」を探求する者には
その「精神の強靭さ」を試される時が
必ずやって来ます。

「神」は「神を暴こうとする者」に
その精神のギリギリを差し出せと言わんばかりに迫ってきます。


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彼は、精神の戦いにおいて、最強の戦士でした。
私は、彼を畏れ敬いました。
それは、彼の中にある「大自然」というものに畏怖を感じていたからに違いありません。


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思い出アルバム ~魔法の記憶~ (5)

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彼の人生は「うつ病」との戦いでした。
うつの只中にいる時、彼は、まるで別人でした。

「僕の中に極悪人がいる。」

一度だけ、私に言ったことがあります。

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芸術とは「内的調和」を表現することにあります。
いや、むしろ、「内的調和」が地上において具象した姿が「芸術」なのです。

杓子定規の「職人」と「芸術家」を分けるのもこの「内的調和」の体現にあります。


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「内的調和」とはなんでしょうか?
それは、彫刻家ロダンに

「自然は分析的思考を好まない」

と言わせしめたものであり、
ストラディバリの作った楽器が、全て寸法や厚みが違うにもかかわらず、
どれも「全体の統一感」を失わず、ストラディバリのそれと分かる「何か」です。

我々はその正体を暴こうとしたしたのです。

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彼の「内的調和」を希求する衝動は、他ならぬ「うつ病」から脱するためでした。
彼の「うつ病」が「内的調和」のカラクリを身をもって理解せしめたのです。

天国へ通ずる道を示すために、地獄を知らなくてはならなかった彼の人生は、
まさしく、「キリストの受難」を体現しているかのようでした。

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「うつ病」は、彼の「終生の敵」であり、また「よき教師」でもあったのです。
残念ながら、最期まで「うつ病」を治すことはできませんでした。



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思い出アルバム ~魔法の記憶~ (6)

孤独な魂はお互いそれと分かるものです。

私たちは、出会った時から、「運命の車輪」が動き出すのを感じていました。

なぜかは分かりりませんが、人が人と出会うということはそういうことなのです。

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ある日、彼は唐突に話を始めました。

「僕は人でなしだ。」

その時、決して幸福とは言えない彼の半生を伺い知ることができました。

「純粋」というものは、本人も周りも、不幸にしてしまうものなのでしょうか?

「綺麗」は、どうしていつも「哀しみ」と共にあるのでしょうか?

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我々は、親と子ほどの年の差がありました。

私には、父親がいませんでした。

彼は、家族を捨て去った人間でした。

家族を捨てた人間が、捨てられた人間を育てたのです。

人間の出会いというものは本当に不思議なものです。

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彼は、私の「師」であり、「友」であり、「親」であり、「ライバル」でした。

お互いの存在が、インスピレーションの源泉として働き

「常に新しくいる」ことができました。


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我々は、お互いの「孤独」を尊重しました。

人間は、真に自己に向き合う時、そしてその時のみ、

自己の内奥に隠れている、「本当の自分」に出会うことができるのです。

そしてそれは、「全人類と向き合う」ことと同じことなのです。




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