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音響対称性 と 停止条件 (1)

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等音面とは、共鳴版の各点が同一の振動数分布を持つというかなり特異な性質を保持した共鳴版であることを見てきました。
等音面が、良い共鳴版の必要条件であることは、異なるチューニングのさまざまな楽器を勝手気ままにならしている状態を考えて頂ければわかると思います。

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これが、同一共鳴版内の振動数分布の異なる領域同士で起きてしまうということです。

したがって、今まで楽器制作上の謎とされてきた響きや音色のニュアンスの問題がフォノグラムの研究をしていけば明らかにされるであろうと予想されます。

私の知る限り、このような、音に着目したヴァイオリン制作法は、歴史上、どこを探しても見当たりません。
また、科学の概念にも、音の世界の対称性などというものは見つけることができません。
これを、「音響対称性」と呼ぶことにします。

音響対称性において、最も対称性が高い状態が(理想)等音面ということになります。

フォノグラム図形は、自然倍音列が増えるにしたがって様々に変化していきます。

ある領域が部分等音面になっていたり、渦が一つにまとまらず全体として、左右対称に渦があった
り、これらは、等音面ほど対称性は高くないが、それなりの対称性をもった共鳴版ということが出来そうです。

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(渦が二つある状態、ひとつの大きな共鳴版になりきれず、二つの小さい太鼓が繋がっている状態。)


これらのフォノグラムの図形変化と振動数分布状態の実測値を比較していけば、対応関係が掴めるはずです。

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フォノグラムを描きだしたそもそもの理由は、削りすぎないための「停止条件」を常に理解しておきたいがためでした。
今ここを削っていいのか?掘りすぎはしないか?ここの領域とあそこの領域ではどちらが進んでいるのか?どちらを削っていけばよいのか?

全ては、音列の変化とフォノグラム図形が示してくれるのです。

この「停止条件」と「音響対称性」の間には密接な関係があります。

我々が実現したいのは等音面なのですから、音響対称性が最大になった時、全ての作業が終了するわけです。これが停止条件です。

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そして、この、音響対称性が最大の時、共鳴版の各点の振動数分布はある一つの分布状態に収束していき、そしてその時の振動数分布状態はホワイトノイズ型になるということです。
(これにはもう少し、慎重な議論が必要かもしれません。たとえば、円と楕円では、それぞれの
等音面において、振動数分布は同じ分布状態に落ち着くか否か?という問題があります。
したがって、ホワイトノイズとは言わずに、ホワイトノイズ型といっておきます。)

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(音響対称性が最大になるとき、等音面が出来上がる。)


幾何学の研究を、変換群によって不変な性質を考えるという問題に帰着させたのはフェリックス=クラインでした。(エルランゲン目録)
現代幾何学はおおむね、このクラインの思想の上に乗っかっています。
音を聞いて楽器を掘っていく方法では、どうしても、このような空間の性質を扱う幾何学とは符合することができませんでした。

なぜなら、人間には2点同時に音を聞きながら共鳴版を削るということが不可能だからです。(空間的、同時的)

音を聞きながら一本のノミで一筆書きのように削っていくしかないのです。(時間的)

共鳴版の部分を削れば全体の共鳴状態が変化してしまいますし、全体が変化すれば部分もその影響を受けてしまいます。
(典型的な非線形問題なのですが、出てくる音列を注深く聞きながら掘り進めることができれば、曲面は、一様に、目的の面に収束していきます。)

何が言いたいかといいますと、左右対称(空間対称)に作るということが原理上、困難だということなのです。

共鳴の原理、和声法の原理に従って音響対称性という概念を導入しましたが、こうした方法が明らかにするのは、楽器制作において幾何学的対称性(左右対称)の実現は困難どころかナンセンスという結論になってしまうのです。

幾何学的対称性の高さ¬=音響対称性の高さ

ということになります。

私は、過去記事において、非対称性楽器についての話に言及しています。
フォノグラムの図形変化に基づいて、カウンターバランスや弦張力による楽器のねじれなどを話題にしてきました。

今回、フォノグラムと圧電スピーカによる振動数分布が対応することが実験で確かめられましたので、ほぼ、そこで議論したことは正しいと証明されたと考えていいと思います。
(いずれ、圧電スピーカーによる測定法で、再度、楽器の非対称性とカウンターバランスについて
研究し直すつもりです。)

非対称性楽器に触れているヴァイオリン制作者は居るにはいますが、このような音響対称性という観点からそれに触れている方は見受けられないように思います。

つまり、ヴァイオリンに限らず、この音響対称性の実現ということがよい楽器の(少なくとも)必要条件ということができます。

もちろん十分条件というつもりはありません。

つづく

関連記事

過去記事インデックスの非対称性楽器とカウンターバランスという記事を参考にしてください。


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Comment

フォノグラムは、音楽と数学だけじゃなくて、もうありとあらゆるものの源を明かすもんやと、思います!!
ビッグバーン的な。フォノグラムの存在がビッグバーン。物質的な世界も精神的な世界も取り込んでしまえる、世界がいろんな分野に枝分かれする前のものやと勝手に思ってます!!

おにょさんが数学を教える空間ってすごいあったかそうですね( ̄ヮ ̄)。常にやわらかい日の光がさしてそう。

うちもいろんな人に感謝して生きよう。GIVE&THANK!!結果的に何かTAKE!!(欲しがるんかーい)

  • 2013/02/22 04:30
  • ぽにょ
  • URL
世界がいろんな分野に枝分かれする前のもの

その通りです!



やわらかい日の光

常にそうありたいと願っています。
そう思っていただけるのはありがたいことです。

  • 2013/02/22 06:07
  • 磐座(イワクラ)のおにょ
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