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「形の科学会」 事後報告 ③

  • Day:2012.06.23 01:08
  • Cat:雑感
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そこへ、一人の同年代くらいの方が
私に声をかけてくれました。

なんというか 「柔らかい」感じのするかたでした。

それは、取り繕った社交性ではなく、雰囲(気)として伝わる何かでした。

実はこれもフォノグラムです。

その方は、なんと「書」の研究をされている方でした。

「形の科学会」を、はじめの発表の場に選んだことの一つに、
このような方がいるはずだと思われたからです。

あらゆる分野の境界上に身を置いているような方とお話がしたかったのです。
分野の境界上に身を置いているからこそ、統合の視点が育つと考えます。

言葉を少し交わしただけで、「話が通じる」と感じました。

人間というのは、話す前に、話す内容を無意識に決めてしまっています。
無意識に行われている「ある種の生命の情報」を意識的に取り出したものが
「フォノグラム」なのです。

お話をさせていただいているうちに、この方も、初めは過激な内容で公演なされたようでした。
(過激というのは、こういった科学の学会においてという意味です。)

同じ対象を、違った世界、違った表現で研究されているなと直感的に分かりました。
こういった方が、科学の発表の場に居られるなら、自分にも居場所があるかもしれない
そう思いました。

もう少しだけ、この場に留まってみようと思いました。

ここで、私の内部の心理状態で何が起こっていたのかお話します。

そもそもこの発表に踏み切った最大の理由が、長年一緒に研究してきた、
共同研究者の死でした。

私も、はじめからフォノグラムを見ることができていたわけではありませんから
初めは同じように半信半疑でした。

発表終了後にされた質問の全ては、既に自分が共同研究者にし尽くしていた質問であるし、
質問者の心理、気持ちも十分に理解できるものでした。

しかし、彼が亡くなって、フォノグラムを見ることのできる人間が自分一人になってしまった時、
明らかに、以前の自分と変ってしまったのでした。

彼が生きているあいだは、フォノグラムという現象に対する正直な見解を
彼に押し付けることによって、私の正直さも担保することができました。

しかし、現象に対する正直さを、自分自身で背負わなければならなく成った時
私は、以前の彼と同じような発言をしなければならないことに気がつきました。

徹底的に、真実そのものに正直に対応しようとすると、
既存の科学概念で説明を試みることに、異常な抵抗を示すことになってしまうのです。

以前の私は、何故、彼がそんなにかたくなに、既成概念で説明されるのが嫌なのかわかりませんでした。
しかし、今の私には、彼の気持ちが痛いほどよく分かるのです。

解った気にさせてしまうだけで、現象そのものを見ていないという結果に陥ってしまうことを恐れたのです。
それならば、むしろ、わからないままの方が良い、そう考えていたに違いありません。

説明しても無駄だという彼の態度を疎ましく思っていましたが、
実際、彼の立場に立ってみると、そう思いたくなる理由も十分に理解できるのです。

彼は、誰にも理解されないという思いを胸にこの世を去りました。

このまま京都に帰っていれば、私も彼と同じ運命を辿ることになったかもしれません。

私は、彼とは違ったやり方で生きたいが為に、この場に居るわけです。

彼がこの世を去って数ヶ月、
私は彼の遺品の中で生活することを選びました。

彼を受け入れると同時に、
彼を自分の内に飲み込まねばなりませんでした。

ですから、私に話しかけていただいた意図がなんにせよ
私にとっては、とてつもなく大きな意味を持つものだったのです。


つづく


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Comment

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  • 2012/06/25 18:27
Re: もしよろしければお願いいたします。
斎藤様

メールありがとうございます。

色々と気にかけていただいているようで
大変恐縮です。
ありがとうございます。

共同研究者(福永)のことですが、享年65才でした。
私の父ぐらいの年齢でしょうか。
仕事は、郵便局のアルバイトをしながら、
楽器制作をしていました。
もともと、彼はうつ病の兆候が有り、それを克服するための
苦肉の方法がフォノグラムによる治療でした。
詳しくは、カテゴリの写真集;思い出アルバムを見てください。
彼との思い出を詩的に綴ってあります。
  • 2012/06/25 22:11
  • 磐座(イワクラ)のおにょ
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とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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まとめtyaiました【「形の科学会」 事後報告 ③】
そこへ、一人の同年代くらいの方が私に声をかけてくれました。なんというか 「柔らかい」感じのするかたでした。それは、取り繕った社交性ではなく、雰囲(気)として伝わる情報です。実はこれもフォノグラムです。その方は、なんと「書」の研究をされている方でした。「...
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