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今までと これから

  • Day:2012.07.02 20:15
  • Cat:雑感
ura4.jpg
(フォノグラムを元に、薄皮を一層づつ剥いでいく様子。
 現実の距離はたった0.5mmなのですが、音の世界の距離では何kmにも感じます。
 0.5mm進むのに、丸一日かかりました。目標まであと薄皮一枚というところです。)




約一年以上かけて、「フォノグラム」の世界を紹介してまいりました。
導入という意味では、今回の「形の科学会」発表という形で一応、終了にしたいと考えています。
「形の科学会」で発表した内容の、より詳しい内容が、今までのブログ記事に書かれていると思ってください。

今までは、フォノグラムがどういうものなのか?ということを、なんとか説明したり、証明を試みる
ための示唆を巡らしたりすることが多かったように思います。

正直、説明することに疲れてきているということもありまして、これからは、「フォノグラム」を利用すれば
一体何ができるのか、この情報を元にすればどんなことができるのか
ということを具体的に示していきたいと思います。


私の主な研究は、

①数学

フォノグラムの数理表現の可能性を追求すること

②楽器制作

実際に、フォノグラムを利用して、楽器を作り、音と形の関係を明らかにすること

*正直、ヴァイオリン製作者がヴァイオリンを作る動機とはかなり違います。
 良いものを作るというところでは一致しますが、私が一番知りたいのは
 その基本原理なのです。それが解れば、自動的に良いものはできるはずです。*

③東洋医学研究

これも音と形の関係を明らかにするという意味では楽器製作と同じですが
人体のほうは「動的な形」だということです。

また、人体における音と形の関係は、
そのまま精神と肉体の関係を解明することにつながります。

私は、異分野の境界上にあえて身を置くことによって、専門の中に安住していては
決して見いだせないであろう「統合の視点」を自分の中に育てようとしています。



「舞踏する星を生むためには 汝、自らのうちに混沌を残しておかなければならない」
 
                              ニーチェ

次回からは一応、新展開のつもりで記事を書いていくつもりです。
しばらく、「形の非対称性」と「カウンターバランス」についての考察をしていきたいと思います。

フォノグラムを利用することにより、
どのような考察が可能になるのかをお見せできると思います。


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②共鳴版を指圧してみる  ~非対称性とカウンターバランス~

楽器にかかる弦張力のうち、まずは垂直方向にかかる力だけを考えてみます。
4本の弦張力の違いから起こる「応力(ねじれ)」はしばらく無視して考えを進めていきます。

実験:共鳴版の中心に「圧力」を少しずつ加えていくと、フォノグラムはどのように変化するか?

g syupu

赤い線のところに駒の足が置かれます。
この位置に合わせて、少しずつ圧力を加えていきます。
実際には15kgもの圧力がかかることになります。
まずは、何も圧力を加えない状態でのフォノグラムは次のようになります。
というよりも、こうなるように削ったのですが、、。

g syupu nom

フォノグラムは格子パターンになっています。
何度も説明してきましたが、フォノグラムの渦は音を殺します。
渦を消していくように削っていけば、自動的に共鳴版の隆起は決まりますし
またそのフォノグラムは格子パターンになります。
格子パターンが崩れると、波線や渦巻き模様が出てきます。


次に、圧力を「1音(2度)」だけ加えてみます。

*私は、圧力による緊張度の変化を音の変化で捉えることができます。
 整体の施術をする時も、この感覚を利用します。
 適切なポイントに適切な圧力を加えて、相手の反応を誘発するわけですが
 これを適切に感じる能力がなければ、何の反応も誘発させることができないでしょう。
 逆に、適切に反応を誘発できれば、相手は勝手に自動調整していきます。
 まるでドミノのように、順繰りに反応が起こっていきます。
 そうでない整体は、ただの筋肉マッサージ、一時しのぎの筋トレに過ぎません。
 筋力の変更による改善は、筋力がもつ間(6時間ぐらい)だけです。
 音を聞き取る力と、フォノグラム能力は同じだといってもいいでしょう。*

以下 その図形変化です。

g syup dr maue
(実際は、指圧して、音の変化を読み取ります。それと同じ圧力をクランプで再現します。)


真上から圧力を加えると、共鳴版は緊張します。
緊張することにより、フォノグラムの格子パターンは細密になります。
これはフォノグラムの音列が上がったことを示しています。
圧力が共鳴版に加わることにより、初めて音列が進みます。

g syupu dr


また圧力が加わったことにより、若干「歪み」も出てきました。
これはいずれ補正しなければなりません。

さらに圧力を加えます。もう「1音」上げてみます。

g syupu drd maue

g syup drd yoko

さらに、もう1音上げるように圧力を加えると
なんと補正すべき渦が消えてしまい、フォノグラムの格子パターンがさらに細密化しました。

さらに圧力を加えていこうと思うのですが、音が変化してくれません。
つまりこれ以上圧力を加えても内部の緊張状態を変更することができないということです。

*ちなみに、整体の施術の時も同様に、内部緊張の変更を促せない方向には
 圧力を加えません。もし仮に、この方向に圧力を加えたとしたら痛がります。
 楽器は痛がりませんが壊れてしまいます!  バキッと!*

以上のことから何が言えるでしょうか?

弦の張力がかかることによって、共鳴版は固く緊張し、歪みを消す効果があるということです。

また、基本的には、共鳴版をなるたけ薄くしたいわけですから、均等に薄くして、弦張力を全身で受け止めることのできる構造にしてやれば、かかった緊張力で、固さを確保できるというわけです。
削り足りない厚い状態の共鳴版は、弦張力の影響も受けない代わりに、部分振動による高音しかならないでしょう。
豊かな高音域が出るためには、しっかりとした低音域が確保されていまければなりません。
そのためには、弦張力を全身で散らすことのできる柔軟な構造が必要です。

今回の実験は、圧力が、共鳴版の中心にまっすぐかかるようにしました。
したがって、共鳴版が圧力を全身で受け止めることで緊張し、フォノグラムの音列を進める
働きをしました。
実際は、E線側に圧力が過剰にかかっていますし、その圧力に対抗するためのカウンターバランスも
G線側のバスバーとE線側の魂柱の違いがあります。
次回に、このことを踏まえてさらに実験を進めます。
フォノグラムを利用すれば、このような共鳴版の内部緊張の変化をモニターすることができるのです。

つづく



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③無視できない「応力」  ~非対称性とカウンターバランス~

前回は共鳴版に真上から圧力を加え、フォノグラムがどう変化するのかを観察しました。
実際はE線の弦張力が強いため、圧力は真上から均等にかからず、E線側により強い圧力がかかります。
今回は、このことを中心に考えていきたいと思います。

実験;E線側に不均衡に圧力をかけた時、フォノグラムはどう変化するか?

まず、前回と同様に、*1音だけ圧力を加えてみます。   *意味は前回参照

g syup  gawa

圧力が共鳴版に対して不均等にかかるので、内部緊張も不均等になり、当然フォノグラムも歪みます。
しかもかなりの不均等が感じられます。
フォノグラムの渦の巻き具合で、均衡の崩れ度合いがわかります。

g syup dr gawa

ここまでは、実験しなくてもある程度予想することはできます。
実は、面白いのはこの次です。

さらに、もう1音上げてみます。

g syupu drd gawa

なんと、圧力が不均等にかかっているにも関わらず、フォノグラムは対称を保っています。
これは、内部緊張が均等であることを示しています。

g syup drd gawa yoko

これは、予想と反することのように思えます。
実際に実験してみないとわからないことです。

以上のことから何が見えてくるでしょうか?

前回のことを踏まえて考えますと、

①弦の張力は、縦方向に働くときは、歪みを補正する働きがるということ

②弦張力による圧力が不均等に共鳴版にかかったとしても、ある場合によっては、内部緊張は
 均等に保つことができる

ということが結論されます。
共鳴版にかかる圧力(垂直方向)は、うまくバランスさせれば、
内部緊張を均等に保つことができるといえそうです。


次に、もう一つ実験をしてみます。
今までは、「応力;ねじれ」の問題を除外してきましたが、
これについて実験してみたいと思います。

実験;共鳴版をねじったり、ひねったりした時、フォノグラムはどう変化するか?

g syup hineri  nom 
(クランプで共鳴版の端を固定し、片方にモノをはさんでひねった状態にする。
このひねりも音の変化の分だけひねります。1音だけひねるということです。)

以下が、その状態のフォノグラムです。

g syup hineri

もはや、真っ直ぐな線は見られません。
さらに音を上げてもこの歪みが解消されることはありませんでした。
弦張力による横方向の力の不均衡は、どうやら是正されないようです。

まとめ

①弦張力の縦方向の力の不均衡は、うまく調整さえすれば、内部緊張を均等に保つことができる。
これは、共鳴版だけの問題として考えることができると言えそうです。

②弦張力の横方向の力の不均衡は、どんなに調整しても、内部緊張を均等に保つことができない。
これは、共鳴版だけで問題を解決することができず、
別のところでカウンターのひねりを作ってやらなければならないことを示しています。
*これがネックを右に振ることに対応していることを後で見ます。*

これらの実験は、弦張力による圧力や応力のカウンターバランスを考える上でとても参考になる
データを与えるものであることがわかります。

これらは、熟練の職人が「勘」として片付けてしまっているものに
新たな説明を与えることができると同時に、「量」として捉えることを可能にします。

圧力変化による内部緊張の違いを、フォノグラムの図形変化で捉えることにより、
カウンターの力をどのくらい与えておけばいいかを正確に計算することができるのです。

例えば、垂直方向の弦の圧力15kgに対抗するカウンターバランスとして、バスバーの両端を少し
浮かせて、表板に圧着するというシュパヌングという技法がありますが、
これについても「勘」に頼らず「量」の問題として、もっと正確な捉え方ができるはずです。

次回から、これらの実験結果を踏まえた上で、
どうすれば正確なカウンターバランスを構築することができるのか
ということを考えていきたいと思います。
フォノグラムを利用することにより、新しい「量」の計算法が確立することを見ていきます。
これは、そっくりそのまま整体技術に応用することができます。

*というよりも、自分の身体を調整する技術をそのまま楽器の調整に利用することにより
 フォノグラムの研究はスタートしています。フォノグラムの正しさの保証は、実は身体の内部感覚
 の充実度(それは主観的と言われてしまうかもしれませんが)によります。
 客観的事実の羅列は、確かに足場にはなりますが、ほとんどがつまらないものです。
 物事の確かさを測る新たな基準のようなものがそろそろ考えられてもいいと思うのですが、、、。*


つづく


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